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朝の4時半起床。
おはようございます。
眠たい目をこすりながら外を見る。
「なんていい天気だ・・・」思わず呟いてしまうほどホントに良い天気でした。
天気は快晴、風はナシ!海はベタ凪!!
あとは・・・そうマンボウが獲れるかどうかだけ。
5時半、漁港に到着。

本日乗せて頂く漁船です。 定置網に到着 作業中です。

早速、出発!私は船に弱いので一応酔い止めを飲みました。
いつぞやは船酔いでほとんど作業できなかった思い出がありますので(苦笑)
船を走らせること15分、定置網に到着。
漁師さん達は網を絞る作業に移ります。
網はどんどん絞られてだんだん魚の姿が見えてくる・・・。
お!?あの魚はマトウダイ!
昨日、刺身で出てきた魚だ。
この魚は美味しかったなぁ〜、と思いながらさらに周りを見渡す。
サバやブリ、シイラ、カツオ、マダイ、カワハギ、アンコウ、ヤリイカ、フグ、サメまで入ってました。
そして最後に・・・一際大きなグレー色した魚体が浮かんでくる・・・。
水面を叩くあの見覚えある鰭(ひれ)、
あれはまさか・・・
そうッ!
我々はあの魚を知っているッ!!!

浮かび上がってくるマトウダイ
マンボウだッ!!

やっぱり私にはマンボウ運があったッッ!!
ほとんどマンボウが獲れないこの状況で一発でマンボウに遭遇できるとは・・・。
クレーンで吊るされたマンボウは船の甲板に置かれました。

吊るされるマンボウ マンボウの全長は130cmでした。 鰭をバタつかせるマンボウ
哀想ですがこの地方ではマンボウは食用にされます。
よってこの場で捌かれてしまうわけですが・・・。
マンボウを食べる、というこの行為は列記とした日本の食文化!
色々言いたいこともありますが、まあ分かって下さい、
ということです(笑)
早速、調査開始。
相変わらず体の中、外には寄生虫がいっぱい
(寄生虫の話はまた今度)。
そしてビックリ!?
このマンボウは・・・雄(オス)でした。
立派な精巣を持ってましたよ。
実は私、雄の精巣を見るのはこれが初めて。
長い間マンボウの体の中を調べてきましたが、
ほとんどが未成熟か雌ばかり。
こんなに立派な精巣を見たのは本当に初めてなのです。
「これがマンボウの精巣かぁ〜」と感激!
・・・人工授精出来ないかなぁ、とポツリと一人で呟きました。
だってマンボウの稚魚が見てみたいじゃないですか、ねぇ。
初登場!マンボウの精巣
さらに腸を開いて消化管内容物を調べる。
ん〜、何にもないじゃ・・・お!?
コレはまさか・・・イカの嘴(クチバシ)じゃん!?
まさかこのマンボウはイカを食べていたのでは
クチバシしか出てこなかったということは完全に消化されているということ。
マンボウはどのくらい時間をかけてイカを消化するのかはわかりませんが、もしも1日以上かかるのであれば定置網内での不自然状態で食べたのではなく、海中での自然状態で食べた可能性が高いことになります。
ちなみにこのイカは何イカなんだろう?
そんな疑問に答えてくれるのが国立科学博物館の「頭足類の顎板による種査定に関するマニュアル」です。
北太平洋に生息する鯨類や海獣類、大型魚類、海鳥類などの胃の中から出てくるタコ・イカ類の顎板(嘴)からその種を同定しようとするとんでもないサイト。
早速、このサイトの写真を手がかりにこの嘴の持ち主であるイカの同定をするべく調べたのですが、さすがに数枚の写真だけでは写真の角度の問題もあって「コレだ!」と納得のいく同定は出来ませんでした。
実物はナカムラさんに預けてますしね。
テカギイカの嘴っぽいのですが・・・。
安易なことは言えないのでここまでにしときます。
マンボウの腸の中から出てきた石とイカの嘴(クチバシ)

そうそう、あと石が出てきました。
・・・なんでだろう?
@マンボウが捕食した生物がすでに石を食べており、その石だけが消化されずに腸の中に残っていた
Aマンボウが海底にいる生物(カニやエビなどの甲殻類?それとも魚?)を石ごと食べた
B石を一度食べてみたかった

他にも考えられるかもしれませんが(Bなわけねーだろ!)私が考えたのは上記の通り。
う〜ん、わからん。
調べれば調べるほど謎が深まるマンボウの生態。
(単なる自分の知識不足が原因かもしれないけど・・・)
面白いなぁ。
そんなわけで他のデータも取って調査は終了・・・。


プロローグ

この後、午後も船に乗りましたがマンボウは獲れず。
結局、1匹だけでした。
でも精巣が見れたり、イカの嘴や石が出てきたりと色々な発見がありました。
たった1匹だけど大満足♪

その後は室戸岬などを見学して夜に室戸を発ちました。
その晩は車の中で寝て、次の日の夕方に大分に到着。
結局、室戸に滞在したのはわずか一日。
あとは全部移動でした。
それでも漁船に乗れたこと、マンボウを見たこと、触ったこと、これらはもう中々経験できないと思っていたので、また経験出来てすっっっっっっっっっごく楽しかったです。
これからも私はこうやってマンボウとずっと関わっていくのでしょうか?
謎を解こうと調べれば調べるほど謎が増え、深まるマンボウ。
全ての謎が解ける日は来るのでしょうか?
う〜ん・・・いや、ないでしょう(笑)
それほど不思議の多い魚なのです。
でも少しでも知りたいからこれからも調べていきます。
う〜ん楽しい♪

最後までお付き合いして下さったみなさん、どうもありがとうございました!
良かったら感想聞かせて下さいね。
それではまた。
次のマンボウ日記をお楽しみに♪

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室戸岬だそうです。思ってたより小さい(笑)